ANAがA380導入に踏み切ったわけ - ANAとスカイマークとの協業関係の現状
現在の投資契約に一定の縛りはあるだろうが、最終的に「転売目当ての別の機関投資家」「航空事業を引き受けたい事業会社」「支援してきたANA」などに一括で売却する方が高く売れることは、株式価値に経営権という価値が加わるため当然だろう。その際に買い手側が「システム上、ANAに依存していることが将来の経営にとってのリスクと捉える」ことがあれば購入価格の低下につながりかねない(減額交渉の材料にもされる)と、売り手側は考えるだろう。
ANAとしても、最後にどの競合相手の手に渡るか分からない環境では買収価格の高騰を覚悟せざるを得ないだろう。その場合、投資側の切り口からすると今のスカイマークが目先の収支改善より、「独立性」「経営の自由度」を掲げてシステム依存をしないという判断は、結果的にインテグラルを利するものと考えることもできる。なおこれは、外資や航空会社の出資制限問題はテクニカルに解決されるという前提でのことである。
その意味で、今後ANAとの協業についてのスカイマークの方針がどのような議論を経て、どう決定されるのか、現状のまま様子を見るという実質的に策を講じないという判断も含め、それがどういう理由で同社の現下の経営上最善の方策と判断されるのか。