くらし情報『新たなアリアドネーの糸、欧州の次世代ロケット「アリアン6」の設計固まる - 【前編】紆余曲折を経て決まったアリアン6』

新たなアリアドネーの糸、欧州の次世代ロケット「アリアン6」の設計固まる - 【前編】紆余曲折を経て決まったアリアン6

とも呼ばれていた。これは7年で開発し、静止衛星の打ち上げ能力が7トン、そして打ち上げコストが7000万ユーロという、7尽くしであったことに由来する。

ところが2014年、アリアン5の製造を行っている欧州の航空宇宙大手「エアバス」と、エンジン・メーカーとして知られる「サフラン」が、共同でロケット開発会社「エアバス・サフラン・ローンチャーズ」(ASL)を立ち上げると発表。それまでESAやフランス国立宇宙研究センター(CNES)といった国の機関が主導していたアリアン6の検討を、産業側が主導する形に改められることになった。

これは非常に大きな変化、決定だった。アリアン5までは、ESAやCNESが開発を主導し、ESAに加盟している欧州各国の企業に対し、その出資比率に合わせて部品の発注を分ける、「ジオリターン」(GeoReturn)という方法がとられていた。これは安全、確実に開発でき、ESA加盟国すべてがロケット開発で潤うという利点はあったものの、開発スピードは遅く、またロケットに採用する技術や部品を、純粋に技術や性能の高さやコストの安さで選べないという欠点もあった。

ただ1社でファルコン9を開発したスペースXと対峙していくことを考えると、これらの欠点は致命的な弱みとなる。

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