新たなアリアドネーの糸、欧州の次世代ロケット「アリアン6」の設計固まる - 【前編】紆余曲折を経て決まったアリアン6
そもそも産業側からは、ESAやCNESの考える「トリプル・セヴン」案では「打ち上げ能力が足らない上に価格が高い」、つまり市場で勝てないという意見が出ており、危機感を強めた産業側が立ち上がり、ロケットの開発体制から設計に至るまで、大きな変化が起こることになったのである。
その結果、アリアン6ではジオリターンに原則的にこだわらない開発、製造が行われることになった。そしてASLが出した案は、現在のアリアン5と同じ第1段と第2段に液体ロケットを、補助ブースターとして固体ロケットという構成をもち、打ち上げ能力も維持、その上で打ち上げコストを半額にするというものだった。
その後も検討が続けられる中で、第1段と第2段の直径や、ブースターの形が変わるといった変化はあったものの、構成やコスト目標はこれで定着し、今年1月には設計と、製造に向けた産業側の準備が完了。これからいよいよ、実際の部品を造ったり試験をしたりと、開発が本格化する。順調に進めば、2020年にも1号機が打ち上げられることになっている。
(後編に続く)
参考
・Airbus Safran Launchers: a highly promising first year
http://www.airbusafran-launchers.com/wp-content/uploads/2016/01/ASL-1-year.pdf
・Ariane 6
https://airbusdefenceandspace.com/our-portfolio/space-systems/ariane-6/
・Ariane 4 / Launchers / Our Activities / ESA
http://www.esa.int/Our_Activities/Launchers/Ariane_42
・Airbus, Safran Form Space Launch Joint Venture | AWIN ONLY content from Aviation Week
http://aviationweek.com/awin-only/airbus-safran-form-space-launch-joint-venture
・Airbus Group and Safran Launch Joint Venture
http://www.airbusafran-launchers.com/wp-content/uploads/2014/12/PR-Airbus-Safran-Joint-Venture-EN.pdf