2016年2月25日 16:27
さよなら、「フィーレイ」 - 史上初の彗星着陸に挑んだ小さな探査機の物語 (3) もう、会えなくなるんだね
これはある意味では賭けに近かった。機体がどのように動くかは予測できず、逆に探査機を壊してしまうかもしれない。けれども、うまく姿勢が変わり、さらに太陽電池の表面に積もっていると考えられている塵をふるい落とすことができれば、太陽光が当たりやすくなり、通信が再開できるかもしれない。
このとき、Ulamecさんは「(成功する)可能性は小さいです。ですが、私たちはあらゆる手段を尽くしたいと思っています」と語っている。
その指令は1月10日に送信された。しかしフィーレイからの応答はなかった。ロゼッタはアビドスの上空を何度も通過し、最短で高度45kmにまで接近したものの、フィーレイから出る電波を捉えることはできなかった。
フィーレイの姿勢は変わったのか、ホイールが動いたのか、そればかりか指令を受け取ることができたのかすらわからないまま、時間だけが流れ、1月が終わり、彗星と太陽との距離は3億kmを超えた。
○もう、会えなくなるんだね
2月12日、ESAとDLRは「フィーレイは永遠の眠りに就こうとしている」とし、もう復活は望めないことを発表した。Ulamecさんは「フィーレイからの連絡が届く可能性は、残念ながらゼロに近くなっています」