2016年2月25日 16:27
さよなら、「フィーレイ」 - 史上初の彗星着陸に挑んだ小さな探査機の物語 (3) もう、会えなくなるんだね
しかし、彗星に太陽に近付くことは良いことばかりではなかった。太陽光にあぶられた彗星からはガスと塵が噴き出し始め、ロゼッタが彗星、そしてその上にいるフィーレイに近付くことを難しくした。これでは電波を捉えることが難しくなる。
ロゼッタが近付けなくなったことでフィーレイからの電波を捉えることができなかったのか、フィーレイが壊れたのかは不明だが、7月9日を最後に、フィーレイからの通信は途絶えることになった。
○最後の希望
運用チームはその後もフィーレイからの連絡を待ち続けたが、沈黙が続いた。夏が終わり、秋が過ぎて、冬がやってきたが、フィーレイからの連絡は届かないままだった。彗星が太陽から離れ、ガスや塵の噴出活動が落ち着いたときを見計らい、ロゼッタは高度を下げ、アビドスの上空を通過したが、フィーレイからの電波は聞こえなかった。
実は、最後の通信となった2015年7月までに得られたデータの分析から、フィーレイに搭載されている2台の送受信機のうち1台は故障しており、もう1台も問題を抱えている可能性が高いことがわかっていた。
また太陽電池の表面には塵が降り積もり、発電を妨げている可能性も考えられた。