2016年3月18日 08:30
細胞内のカルシウムが脳を眠らせる - 東大など、睡眠を制御する遺伝子特定
法を用いて睡眠の測定を行った。
その結果、電位依存性カルシウムチャネルのCacna1g、Cacna1h遺伝子、およびカルシウム依存性カリウムチャネルのKcnn2、Kcnn3遺伝子ノックアウトマウスが顕著な睡眠時間の減少を示す一方で、カルシウムポンプのAtp2b3遺伝子ノックアウトマウスは顕著な睡眠時間の増加を示した。
またNMDA型グルタミン酸受容体については、薬理学的に働きを阻害し解析を行い、同受容体の阻害でマウスの睡眠時間が減少することを確認した。さらに全脳イメージング技術「CUBIC」用いて、睡眠が減少したマウスの脳を透明化し高解像度で観察したところ、同受容体の阻害、すなわちカルシウムイオンの流入を阻害することによって、大脳皮質の神経細胞の興奮性が上昇することが示された。
また、同研究グループは、睡眠と覚醒のスイッチのような働きをするものがあると考えていたが、カルシウム濃度に依存して活性化するリン酸化酵素「カルシウムイオン・カルモジュリン依存性プロテインキナーゼII」のCamk2a、Camk2b遺伝子ノックアウトマウスで睡眠時間の減少が見られたことから、同酵素が睡眠のスイッチのような役割のひとつを担っているのではと考察している。