2016年3月23日 11:32
理研、ディラック電子系における金属-絶縁体転移の普遍性を「京」で実証
理化学研究所(理研)は3月19日、グラフェンなどで見られる質量ゼロの2次元ディラック電子系において、電子間の相互作用が引き起こす金属から絶縁体への相転移(金属-絶縁体転移)が普遍的な性質を持つことを、スーパーコンピュータ「京」を用いたシミュレーションにより明らかにしたと発表した。
同成果は、理研 計算科学研究機構 量子系物質科学研究チーム 柚木清司チームリーダー、大塚雄一研究員、サンドロ・ソレラ客員主管研究員らの研究グループによるもので、3月18日付けの米科学誌「Physical Review X」オンライン版に掲載された。
グラフェン中に存在する電子は、質量がゼロのディラック粒子として振舞うことが知られているが、ディラック電子にも普通の電子と同じ電荷やスピンの自由度がある。ディラック電子の集団は、電子が自由に動き回る場合は「半金属」となるが、電荷間に働くクーロン力が強くなると、質量がゼロであったディラック電子が質量を持つようになり「絶縁体」に相が転移する。またそれに伴い、隣り合う電子の間のスピンが逆向きに整列した「反強磁性体」状態になることが知られていたが、これまで電子間相互作用で引き起こされる「金属-絶縁体」