2016年3月25日 08:30
遺伝研、ヒト培養細胞内で特定のタンパク質を分解除去する方法を開発
AID法は、目的とするタンパク質を1時間程度で消失できることに加え、可逆的にタンパク質の「ある」「なし」を制御できることが特徴だが、同方法を行うためには、標的タンパク質の情報を持つ遺伝子を人為的に改変し、目印となる"分解タグ"の情報を持つDNA配列を導入する必要があった。
そこで今回、同研究グループは、ゲノム編集技術であるCRISPR/Cas法を応用して分解タグを簡便に導入する技術の開発に成功し、これらの技術を組み合わせることにより、任意のタンパク質の「ある」「なし」を自在に制御できる技術「AID変異細胞の作成法」を完成させた。またこのタグを導入する技術を利用して、蛍光タンパクタグなども任意の遺伝子に導入することが可能になった。これにより、マウスなどのモデル生物でしかできなかった精緻な遺伝学研究が、ヒト細胞でも行うことができるようになる。
同研究グループは、同技術により今後、がん細胞を含めたヒト細胞におけるさまざまな仕組みが解明されることが期待できるとしており、またマウスES細胞への技術応用も進めているという。
新しい強誘電体の開発に向けて~高圧合成とマテリアルズ・インフォマティクスの協同~