2016年3月27日 22:16
X線天文衛星「ひとみ」(ASTRO-H)に異常発生、通信ができない状態に
地上からのコマンドは通らない状態であるものの、これは、衛星がまだ生きており、通信系が動いていることを示している。
そして悪い情報は、「軌道が若干下がり気味に見える」(JAXA宇宙科学研究所の久保田孝・宇宙科学プログラムディレクタ)ということ。軌道に変化があったということは、推進系に何らかの不具合が発生し、ガスの放出があった可能性がある。こうなると、問題はかなり深刻だ(ただし軌道についてはまだ詳細を解析中とのこと)。
今後、衛星の復旧に向け、まずやらなければならないのは通信の確立だ。通信できなければ、トラブルの原因が分からない。原因が分からなければ、対策の立てようがない。
こういう場合のために、衛星には全方向に感度があるSバンドのローゲインアンテナが搭載されている。
本来であれば、どんな姿勢になってもこのアンテナを使って通信はできるはずなのだが、それができていないのは、姿勢が変わったせいで電力が不足しているからと推測されている。
そのため、地上からのコマンドを通すには、とにかくコマンドを送り続けるしか無い。太陽電池パドルがうまく太陽の方角を向いて、発生電力が十分あるタイミングならば、コマンドが通る可能性がある。