日本で個人主義的な人は、親しい友人の数が少なく幸福感が低い - 京大
この結果を受けて研究グループでは、さらに日本でて個人主義的な制度を実際に導入している企業で働く成人を対象に同様の調査を実施。その結果、個人主義が推奨されている制度下においても、個人主義傾向が高い人ほど、親しい友人の数が少なく、幸福感が低いことが判明したとする。
これらの結果について、研究グループは、少なくとも現在の日本において、個人主義的な人は対人関係の不振を生じ、幸福感が低くなっていることが示されたと指摘。将来、さらなるグローバル化が進むことを考慮すると、日本社会の個人主義化は避けがたいと考えられるが、個人主義的な「制度」を導入するだけでは、現在の日本人が快適に働き、生産性を高くすることは難しいと考えられるとし、現在のような過渡期においては、互いの独立性を担保した上で、積極的な関係の構築を行うといった、個々人が個人主義社会で必要な心理・行動傾向を身に付けることが必要になってくるほか、個人が孤立しないような社会的な制度や場を設計することが効果的と考えられるとコメントしており、今後、個人主義傾向が対人関係や幸福感に与える影響について因果関係を含めたより具体的なプロセスの解明を進めていくことで、対人関係の不振によって生じる社会問題(ひきこもり、無縁社会化など)の解決・予防にもつなげられるのではないかと説明している。