2014年4月1日 17:52
理研、プリンタ開発の鍵となるトナー粒子/キャリア粒子間の電位分布を解析
しかし、試料の内部だけでなく、外部にも無視できない強さの電磁場が存在する場合には、電子線ホログラフィの実験で必要な参照波が大きく歪んでしまい高精度な計測ができない。また、トナー粒子とキャリア粒子は絶縁体のため、電子線が試料に照射されると試料自身が帯電し本来の電位分布解析を妨げる、という問題もあった。
そこで今回、研究グループでは、電子線バイプリズムで電子波を分け、一方が観察領域を、もう一方が試料から離れた参照領域を通過するようにした分離照射電子線ホログラフィ、および電子顕微鏡の照射部にマスクを設置して試料を電子波から隠す技術を開発した。
電荷を帯びた試料には、トナー粒子が正の電荷を帯びた正帯電型と負の電荷を帯びた負帯電型の2つがある。この2つのモデル試料を、開発した分離照射法で比較解析したところ、どちらの試料も局所的な電位分布を持つことが分かった。また、トナー粒子とキャリア粒子の接触箇所での電荷のやり取りによる電位分布と、その電場により誘発される分極を示す電位分布の解析にも成功したという。
今後、この成果を応用した高精細かつ省エネルギーのレーザプリンタの開発が期待できる。また、同技術は、他の材料や電子デバイスにおける高精度電磁場計測にも活用が期待できるとコメントしている。
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