山口大など、レアアースを含む2種類の新鉱物を三重県伊勢市で発見
レアアースやレアメタルの産出というと、中国などの諸外国のイメージが強いが、実は日本にもそれらを産出する可能性のある地質が存在する。それが、永嶌准教授らも注目している「秩父帯」だ。秩父帯はかつての海洋底堆積物が弱い変成を受けたのちに今は地表に上がってきた地質(付加体)で、近年話題となっている南鳥島近海の海底で発見されたレアアースやレアメタルを含む泥の数億年後の姿に相当するという。
具体的に秩父帯でどのようなレアアースやレアメタルを含む鉱物が発見されているかというと、2013年に永嶌准教授らが「ランタンバナジウム褐簾石/Vanadoallanite-(La)」を、さらに濱根技術職員らが「伊勢鉱/Iseite」を発見している。それら契機となって、さらなるレアアース・レアメタル鉱物探索が秩父帯で続けられているというわけだ。
そうした秩父帯の1つとして知られているのが三重県伊勢市矢持町の山中で、ここには小規模な鉄マンガン鉱床が存在している。研究チームは今回、この鉄マンガン鉱床を詳細に調査。その結果、冒頭で述べたレアアースの新種鉱物が2種類発見されたのである。
そして、その2種類の化学組成と結晶構造の分析を詳細に行い、どちらも新種であることが判明、それを受けてIMAへの申請がなされ、新鉱物であることが正式に承認されたというわけだ。