山田洋次監督映画の魅力は、「“家族”を安易に美化しない」映画プロデューサー陣が分析
「“家族”という山田映画におけるストーリーの大黒柱に、山田監督が生活する中で感じ取った“時代”や“地域”を張り巡らせて描くからこそ、懐かしくも新しい映画であり続けることができるのだと思います」とも分析。
また阿部プロデューサーも「最も身近にある社会の単位といえるものでありながら、その関係を安定して維持することがいかに難しいか、“家族”というものを決して安易に美化せず、多面的に捉えているがゆえに、山田監督の作品で描かれる“家族”は支持されているのだと思います」と自身の考えを述べる。「“家族”というものは何気ない小さなきっかけで壊れてしまう脆く、弱いもの。しかし“家族”ほどに強いものはないという希望を示してくれる、だからこそ山田監督の描く“家族”の物語には人々の心を惹きつける魅力があるのだと考えます」と語っている。
監督にとって90本目となる最新作で描かれるのは、変わりゆくこの令和の時代に、いつまでも変わらない親子、そして家族の姿。いつまでも自分らしさを忘れずに誇り高く生きる福江の姿はもちろん、そんな母の姿から自身を見つめ直していく昭夫や、祖母を思いやる孫・舞の姿など、3世代それぞれが展開する物語も印象的となっている。