2023年11月30日 06:00
「流行語大賞」40年の歩み “大衆”から“個”の時代へ…言葉のサイクル加速化と価値観の変化
○■「24時間タタカエマスカ」から「働き方改革」、「セクハラ」から「性加害」へ
大きく価値観が変わったジャンルの一つが、“働き方”。89年にはリゲインのテレビCMから生まれた「24時間タタカエマスカ」があったが、17年には「働き方改革」、18年には「時短ハラスメント(ジタハラ)」がノミネートされ、働き続けることに疑問を持たない時代から、ワークライフバランスが重視される時代になった。
99年のトップテンに選ばれた「癒し」を象徴した坂本龍一さんのヒット曲「energy flow」が、「24時間タタカエマスカ」を生んだリゲインのCMで使用されたというのは、この変化を象徴する事象と言えるだろう。
また、89年に選ばれた「セクシャル・ハラスメント」は世間に定着し、この言葉によって被害者が声を上げやすくなった効果もあるが、今年のノミネートに「性加害」が入った。旧ジャニーズ事務所の問題だけでなく、元女性自衛官が訓練中の性暴力被害を訴えたことも含めたものだが、ある選考委員からは「『セクハラ』という言葉は当時は新しかったけど、今思うと軽く感じる。もはやハラスメント(嫌がらせ)ではなく『性加害』という犯罪なんだ」