くらし情報『「お金」に興味を持つという事 - セゾン投信・中野社長の半生記 (3) ”バブルの毒”がまわり、「運用で利益を稼ぐことがいちばん賢い」と信じる』

「お金」に興味を持つという事 - セゾン投信・中野社長の半生記 (3) ”バブルの毒”がまわり、「運用で利益を稼ぐことがいちばん賢い」と信じる

今では考えられないことですが、私のいた会社の社員はほぼ全員、個人でも株式投資に夢中になっていました。
恐ろしいことに何千万円も株式を買うことが決しておかしなことではなかったのです。
事実下っ端社員である私も、最大2千万円近くまで株式を買いました。
なぜ買えたかというと、系列ノンバンクや銀行のカードローンでいくらでもお金が借りられたからです。
自分で銘柄を選ぶときも、その企業の事業内容にはまるで無関心。
チャートで分析して上がりそうなやつを選んでいただけです。
会社のクイック(株価が表示される掲示板)の前には、自分の持っている銘柄の値段をチェックしに、社員が次から次へとひっきりなしでした。
無論自分の金銭感覚は完全に狂ってきましたが、何より日本経済を支えるものづくりや内需に資するサービス産業の価値を感じる感覚が麻痺してしまっていました。
そんなちまちました仕事はバカバカしいと思うようになっていたのです。
やがて天罰を食らい大損するわけで、結局は恥ずかしい話ですが、私のような凡人にとっては、こうした能天気な時期も資産運用の本質に思い至るうえでの必要な体験だったのかもしれません。
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