岩本沙弓の”裏読み”世界診断 (4) 『国債暴落の危機管理計画』に思う、「何を今さら? なぜ今さら?」
オーバーをしないように細心の注意を払って取引をしていますし、仮に規定以上の損失が出れば、その時点で取引は終了となります。
危機管理もせず無防備に市場取引に参加させることなど、金融機関ではありえません―。
これはディーリング・ルームの管理者目線。
さらに銀行全体としても、銀行は預金を預かり(「Liability」ライアビリティー)それを何らかに貸し出しをして(「Asset」アセット)収益を上げますから、資産負債管理(「Asset Liability Management」の頭文字をとって「ALM」と呼びます)が基本です。
自分たちが貸し出している資金(国債を銀行が買うということは替わりに資金を国に貸し出すことになります)については、いったいどれぐらいのリスクが存在するのか、金利が1%上昇したら、5%上昇したら、10%上昇したらどうなるかと常に検証をしています。
その正式なレポートが1週間なのか、1月なのか、その呼称も銀行ごとに違うかもしれませんが、私自身も米系金融機関に在籍していた際に、『contingency(偶発、不測の事態) plan』という報告書を作成していました。金利の変動によって支店全体の帳簿残高がどう変化するかを示したレポートです。