「お金」に興味を持つという事 - セゾン投信・中野社長の半生記 (6) 「未来図」という名のファンドを設計、証券会社回りを始める
我が国における投資信託の法制度も歴史もそれまでほとんど触れることがなく、業界の状況などについても関心の埒(らち)外でしたから、まずは実際の投信業務に精通している方からご教示いただこう、と大手証券会社の営業企画部経由で系列の投信会社をご紹介いただき、現場の方々から実態を見聞して業界の慣習や販売会社との関係に至るしきたりまで教えていただきました。
そうして投資信託業界の全容を把握して行くにつれ、投資信託会社を自分たちが日本で創ることの困難さがわかってきました。
当時は投資信託の設定が許される投資信託委託業は免許制であり、事実上大手証券・銀行・保険会社系列以外への門戸は閉じられていたのです。
私は自分が属していた投資顧問会社を投資信託会社に転換させることを想定して研究していたのですが、どうやらそれは無理だと判断するしかありませんでした。
ならばと、外資系金融機関との合弁での投資信託会社設立をと考え、米国大手投資銀行ベア・スターンズ社との話し合いを始めました。
ベア社は当時日本での知名度も営業実績も乏しく、セゾングループ資本との合弁で投資信託ビジネスの新境地を開拓できるとして、積極的に取り組むことになったのです。