2012年3月13日 12:45
岩本沙弓の”裏読み”世界診断 (6) 円高で日本企業は”危機的状況”ではなかったのか? 「増配」のニュースの謎。
そこで上場企業の株主はいったい誰なのだろう、という疑問が沸いてくるかと思います。
上場企業の株主については東京証券取引所が掲載している「株式分布状況調査」の中の「長期データ」をみると1970年度からの推移がわかります。
金融機関、事業法人、といった国内の投資家が保有比率を落とす一方で、外国人投資家の保有比率が特に1997年頃から増え始め、2003年を境にして一段と伸びています。
1997年は山一證券、三洋証券、北海道拓殖銀行の経営破たんがあり、金融恐慌の様相を呈していました。
2003年は「代行返上」という言葉が毎日のようにメディアに登場していた頃です。
企業年金制度の中には厚生年金基金があります。
この基金では本来は国が管理しておく年金資産を、各企業が国に代わって管理していたのです。
その資産を国に返すことになったのが「代行返上」でした。
原則として現金で国に返すことを求められたので厚生年金基金は保有していた株をその時に大量に売ったという背景があります。
日経平均は7,600円台まで低下しましたが、そこで日本企業とバトンタッチして日本の株を購入したのが外国人投資家だったということがデータからは読み取れます。