岩本沙弓の”裏読み”世界診断 (8) 経常収支の「赤字への転落」は心配無用。ただし「円安」には要注意(前編)
財務省のHP上では所得収支を「雇用者報酬」と「投資収益」の受取・支払を計上するもの、と解説しています。
前者は給与など何らかの報酬を海外から受ければ黒字、逆に海外に支払えば赤字となります。
細かい話になりますが、2012年2月の「雇用者報酬」の赤字11億に対して、「投資収益」は1兆2441億円です。
「雇用者報酬」は所得収支全体の比率にすればわずか0.088%を占めるものに過ぎず、この比率が極めて小さいというのはデータが抽出できる1996年以来変わっていません。
従ってこちらの数字は気にせず、所得収支=「投資収益」と考えてよいでしょう。
そこでこの「投資収益」ですが、これは海外からの利子や配当の受取りと海外への支払いとに分けられます。
海外への支払よりも海外からの受取りが多ければ黒字、ということになります。
最もわかりやすいのは、例えば日本の投資家が米国の10年債を購入したとしましょう。
4月9日現在2.03%となっていますが、この利息は日本の所得収支にとっては黒字となります。
http://www.bloomberg.co.jp/apps/quote?T=jp09/quote.wm&ticker=USGG10YR:IND当然のことながら利息は米ドルで支払われますので、円高となれば投資収益は減少しますし円安になれば増えることになります。