経済成長がもたらす、穀物価格や農業への影響を考える
個人消費は衣・食・住の充足に始まり、生活の潤いとなる嗜好品などへと広がる傾向があります。
生活水準の向上により、イモ類や穀物中心の生活から肉類も食べるといったように、よりおいしく、金額面で豊かなものを求めるようです。
一例として中国の豚肉消費を取り上げると、一人当たり豚肉消費量(下左グラフ参照)からは、経済成長を遂げるに従って、一人当たりの消費量が増加していることが伺えます。
人口の多い中国の豚肉需要を賄うために、世界の豚肉生産量も増加が続いており、過去10年間で約11%増加しています。
(FAO(国連食糧農業機関)およびUSDA(米国農務省)調べ)一般に、畜産物を作るには、その重量の数倍の穀物が必要といわれ、畜産物の生産量増加は穀物需給に大きな影響を与えます。
世界の穀物消費の内訳(下右グラフ参照)で見ても、穀物のうち30%強が飼料として消費されており、今後、新興国の経済成長に伴ない畜産物需要が増加すれば、穀物需要も高まると見られます。
近年、こうした需要に加えて天候不順なども穀物価格の上昇(下右グラフ参照)を招いており、今後も価格上昇が見込まれています。
一方で、生産量を増やすために、農業機械や農薬・肥料の使用を増やすなど、影響は広く波及すると考えられます。
経済成長に伴なう所得増加が更なる経済成長を促すだけでなく、その影響が穀物価格や農業の高度化などにも広がることを考えてみる必要があるようです。
(※グラフ・データは過去のものおよび予想であり、将来を約束するものではありません。
)(2012年5月1日 日興アセットマネジメント作成)●日興アセットマネジメントが提供する、マーケットの旬な話題が楽に読める「楽読」からの転載です。
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