岩本沙弓の”裏読み”世界診断 (15) 本当に消費増税は必要か? 「財政悪化で日本は破綻」という議論に待った!
「負債が1000兆円であるのに対し、資産が1500兆円しかないのでこの500兆円を食い潰せば日本は終わりだ」といった指摘がありますが、見ての通り政府にはかなりの資産があります。
一方、個人には住宅ローンなどの負債もあります。
そして、他の経済主体も存在しています。
したがって、統計の一部だけを取り上げての議論は非常に偏っていると言わざるを得ません。
資金循環統計をデータ元として政府負債1000兆円、個人資産1500兆円という数字を使うなら、部分的ではなく全体像を見て語るのが正確な分析であり、フェア(公正)であるはずです。
1~5の日本国内の経済主体のそれぞれ資産と負債を全て合計すると、日本国全体では270兆円の余剰資金があることがわかります。
そしてこの余剰資金は海外へと貸し出されているのが6枠から確認できます。
少しややこしいかもしれませんが、6の枠は海外から見た資産と負債という区分けです。
つまり、海外勢が日本に持つ資産と海外勢が日本に負っている負債(=日本人が海外に持っている資産)となっていて、それを合算すると負債の方が大きくなっています。
この海外のマイナス(▼263兆円)