岩本沙弓の”裏読み”世界診断 (15) 本当に消費増税は必要か? 「財政悪化で日本は破綻」という議論に待った!
そして、日本の財政難が増税の理由にもなっていますが、負債1000兆円がごく一部の数字だとわかれば、実はそれほど切迫した状況ではないという事実確認もできるかと思います。
本来であれば増税ありきで進む前に、その前提となる正確な経済状況を広く国民に知らせ、その上で増税の議論を進めるのが筋でしょう。
ところで、資金循環統計では国債の発行残高とその保有者内訳が明らかにされます。
3月末の国債発行残高は前年度比4.9%増の919兆円と過去最高を更新しました。
これまで通り、保有者の9割以上が日本国内の経済主体である状況に変化はありませんが、海外部門の数字を詳しくみると保有残高は前年度比23%増の76兆円、国債残高に占める海外投資家の構成比8.3%は年度末ベースで過去最高となりました。
海外勢が積極的に日本の国債を購入するということは、日本の財政が破綻するとも、日本国債が暴落するとも思っていないということです。
つい先日も日本を格下げした格付け機関もありましたが、海外投資家は全く気にしていない、ということがわかります。
こうした状況をこれまで日本国債暴落説寄りだったメディアはいかに伝えるのだろうか、と思って眺めていました。