奥様はコマガール (52) 妻の言い訳に興味が湧いた夜
どうせ何を言っても、「言い訳するな」と封じ込められるに決まっているからだ。
そういう父のもとで育ったからか、僕も無意識のうちに言い訳に対して拒否反応を示すようになった。
したがって、我が家ではこの言い訳というものが、しばしば夫婦喧嘩の火種になる。
妻のチーは、僕が思うに比較的言い訳の多いタイプの女性だからだ。
たとえば連載第39回目で書いた着物騒動のとき、チーは着物をなかなか大阪に送らない理由(言い訳)をしばしば口にしていたのだが、僕としてはその言い訳が余計に癇に障った。
問題は着物を大阪に送ったかどうかの、結果だけなのだ。
先日もそうだ。
深夜寝る前になって、キッチンの流しに洗い物がたくさん溜まっていたのを発見した僕は、チーの「それは明日の朝、洗うから」という言葉を聞いた瞬間、眉間に深い皺を寄せた。
僕は食器の洗い物を次の日に持ち越すことが好きではないのだ。
かくして、僕は深夜の食器洗いを始めた。
我が家は共働きのため、家事をすべてチーに任せるつもりは毛頭ない。余裕のあるほうが、率先してやればいいだけのことだ。
その後、洗い物を終えた僕はようやく布団に入った。