奥様はコマガール (52) 妻の言い訳に興味が湧いた夜
もっとも、何を言っているかまでは聞きとれず、僕の計画は順調に進んでいく。
このままチーのストレスさえ発散させれば、何事もなく就寝できるだろう。
言い訳の内容には興味がないのだ。
ところが、である。
その後1分ほどが経過し、僕がそろそろ言い訳も終わったころだろうと思って耳から手を放すと、思わず目を丸くした。
「●▼■×……●▼■×……」まだ続いていたのだ。
僕は慌てて耳を塞ぎ直した。
たかだか洗い物をしなかったぐらいで、ここまで長い言い訳が出てくるとは、いったいチーの胸の内はどうなっているのだろう。
しかも、この後2分が経過してもまだ言い訳は終わっておらず、3分が経過してもまだチーは独り言を続けていた。
いやはや、いくらなんでも長すぎる。
そして5分が経過したころ、ようやくチーの声が聞こえなくなった。やっと終わったようだ。
僕は耳から手を放し、やれやれと胸を撫で下ろした。
チーの表情はずいぶんすっきりしていた。
溜まったマグマが、綺麗さっぱり発散されたのだろう。
しかし、今度は僕が眠れなくなった。
5分間も言い訳するとは、いったいチーの身に何があったのだろう。
珍しく、他人の言い訳に興味が湧いた夜であった。
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