名称変更から10年、統合失調症への意識はどう変わったか?
こうした状態は、いずれも脳内の統合する機能の失調によるものであり、従来の「精神分裂病」という表現では人格そのものが破たんしているかのような誤解を招く。
そこで、国に要望したり、意見広告を新聞に出すなど、医学界を中心に働きかけを行った結果、2002年に精神分裂病という表現は統合失調症に変わった。
かつての精神分裂病と現在の統合失調症とは、単に呼称が異なるだけではない。
定義としても、精神分裂病は「病」、すなわちひとつの病気の単位として、人格の病気とされてきたが、統合失調症ではそうした定義を改め、さまざまな因子が複合して発症するものであり、人格とはイコールではないとしている。
これは、徐々にその原因がわかってきたことも大きい。
かつては病院に入院させ、いわば監禁に近い状態で投薬治療を行い、鎮静化するという方法が主であったが、現在では社会復帰を目指した治療が通院でも行うことが可能で、発症した患者の過半数が社会復帰を果たしている。では、実際に「統合失調症」と表現が変わったことで、医療関係や我々一般の人にとって、どのような意識の変化が起きているのか。
まず、医療現場においては、これはおおむね歓迎されているという。