音読や計算で脳を活性化し、認知症を改善する。「脳トレ」の川島教授が開発
(以下EJ)の協力のもと実施された。
EJでは、2011年5月、実際に認知症を発症している23名に学習療法を開始した。
同時に対照群(学習療法を実施しない群)24名の半年間の経過観察を開始。
その結果、対照群の75%がMMSE(認知機能検査)のスコアが悪化したのに対し、学習療法を開始した群の81%はMMSEのスコアが改善した。
双方に年齢差が生じたため、80歳未満の被験者を排除し、最終的には学習療法実施者16名、対照群20名のデータを解析している。
このMMSEとは、認知障害の尺度で、認知能力や記憶能力を簡便に検査する11項目の設問で構成される(30点満点)。
22~26点で軽度認知障害(MCI)、21点以下で認知症などの認知障害の可能性が高いと判断されるものだ。
同調査では、FAB(前頭葉機能検査)においても、学習療法を開始した群はスコアの改善が認められている。
また、被験者の表情や服装、話し方にも変化が見られたそうだ。
トライアル前は無表情で話しかけても反応がなかった被験者が、1カ月後には表情や態度がやわらかくなった事例も報告された。
これは、脳の前頭前野の活性化により、社会的認知が向上したからだ。