岩本沙弓の”裏読み”世界診断 (18) 国会で持論を訴えてきました(後編) - 「為替介入」に意義はあるのか?
そこで2つの考え方ができるかと思います。
1つはこの117兆円に関してはドル資産の裏付けがある以上、わざわざ政府の借金に組み込む必要はないという考え方です。
その一方で、1998年を最後にドル売り介入は実施されていないという事実を踏まえますと、保有する米国債を安易に売れないのではないか、という懸念もあります。
自分の資産を好きな時に使えないというのは何とも理不尽な話ですが、そうなるとこれは負債として計上した方が無難ということになります。
現在、政府の債務1000兆円にはこの累積された政府短期証券の数字を含んでいますので、この1000兆円という数字を債務として使うのであれば、ドル買い介入をして米国に渡した資金は日本に返ってこないお金として勘定しているということになります。
米国が財政的に困った時には日本が資金を出して助ける、ということであれば、ドル買い介入は日米同盟を維持していくためには必要ということになります。
何も為替介入だけではありません。
震災直後の被災地支援の遅れが取り沙汰される一方で、欧州債務危機に揺れる世界経済の安定化をはかるために、日本政府が欧州金融安定化基金(EFSF)