ECB(欧州中央銀行)のドラギ総裁は、政策金利の据え置きを決めた8月2日の理事会後の会見で、財政難を抱える南欧諸国の国債利回りの上昇は受け入れがたいとして、3月にいったん停止した、流通市場での国債購入の再開に向けて準備を進めることを明らかにしました。
同総裁が7月26日の講演で、「ユーロを守るためにあらゆる措置をとる用意がある」と述べたことを受け、投資家の間で今回のECB理事会への期待が大きく高まっていました。
しかし、今回は国債購入再開の詳細が示されなかったことに加え、購入対象国が支援要請を行なうことや、ユーロ圏がまずEFSF(欧州金融安定化基金)などの金融安全網を通じて国債を買い入れるべきとの条件が示されたことなどもあり、直ちに効果が期待できないとの失望などから、欧米株式相場やユーロが売られたほか、スペインやイタリアの長期国債利回りが上昇(価格は下落)しました(※上記グラフ、データは過去のものであり、将来の運用成果等を約束するものではありません。
)ドラギ総裁の7月26日の講演は、ECBの政策の大転換を示唆するものであると考えられます。
ECBのこれまでのかたくなな姿勢にうんざりしているユーロ懐疑論者の多くは、ドラギ発言に大した意味はないと主張しています。