「もうあかん やめます!」の看板をぶら下げて数十年の大阪の靴屋さんの謎
と笑う。
え?15年前から、もうあかん?店じまい?どういうこと?これはもう本人に聞くしかない。
「黄色い看板に『店じまい売りつくし』と書いたのは54年ほど前だと聞いていますよ」と話してくれたのは、この店の2代目で、初代オーナーの息子にあたる竹部さん。
先代がお店をオープンさせて2年ほどたった頃、売れ行きが乏しくなってきてお店を閉めようと思い、この看板を出すに至ったのだったとか。
ところが、看板を見た地元の人から「がんばってほしい」と励まされ、結果、なんとか持ちこたえることができたのだそう。
しかし、19年ほど前、再び悲劇が「靴のオットー」を襲った。
バブル経済崩壊である。
オーナーは思った。
「今度こそは本当に店を閉めなければいけないかもしれないな」と。
そこで、看板にプラスして、「もうあかん やめます!」というメッセージ垂れ幕までかけることにしたのだそう。
ところが、ここで再び奇跡が起こる。
なんと、垂れ幕のキャッチコピーが話題を呼び、口コミでお客さんが急増したのだ。そればかりか、テレビや雑誌にも度々取り上げられ、一躍人気の靴屋さんになってしまったのだ。
ここまでのエピソードを気さくに話してくださった竹部さんの笑顔のおかげで、こちらの緊張もほぐれてきた。