2012年10月9日 10:02
マネー小説 『Dekai! 出界!』 (6) 第1章(6)
主要国が各々時間差でバブル崩壊を起こし、デフレ状態に陥っている。
中国の不動産価格を見ても明確にバブル崩壊を起こしている。
つまり、世界はデフレに陥ってしまっているのです。
国内の消費や投資、つまり内需は伸びず、外需に頼るしかない。
全ての国は何とか輸出を伸ばして外貨を獲得しようとする。
その為に自国通貨を安くして輸出競争力を高めたい。
そこに真の国力が働きます。
1930年代に近隣窮乏化政策と呼ばれたものを、暗黙の裡に世界主要国は国力の発揮と共に採っています。
つまり……」言葉を切ってから、柏木は厳しい口調で続けた。
「国力の強い国の通貨が弱くなり、国力の弱い国の通貨が強くなる。
そういう前提が今の為替マーケットを支配しているのです」「だから国力の弱まった日本の通貨、円が上昇していると……」「日本人として悲しいですが、それが事実です。中国は国力があるから自国通貨の人民元を安く維持できる。
円ドルの過去の関係を御覧なさい。
円は米国の意思によってその方向性は決まってきた。
米国政府の意思、米国企業の意思、米国通貨当局の意思、その総合によって決まって来たのです。