2012年12月14日 07:03
飛行中、全エンジン停止! 乗客248名の運命は? - 過去の航空事故を検証
幸い降下して低高度に達すると、噴煙から抜け出すことができ、エンジン内部に詰まっていた火山灰が剝がれ落ちたと見られる。
そして再始動が可能になった。
まさに危機一髪だった。
暴風雨や積乱雲といった目に見えやすい自然現象であれば、早期に発見し、それを回避することが可能だ。
しかし、火山灰は大気中に浮遊する細かいちりで、レーダーに映らない。
そのため、気象観測データをもとに、噴煙が舞い上がっている高度と風向から飛散区域を予測しなければいけない。
パイロットは、お客さんを乗せている以上、定刻通りのフライトを望んでいるため、可能な限り迂回するルートは避けるが、安全のためには早めに飛行ルート変更の決断が不可欠となる。
BA9便の教訓は、「夜間は特に危険」ということだ。
気象条件がよければ、舞い上がる噴煙を昼間ならコクピットの窓から「障害物」としてパイロットが視認し、事前に避けられる。
しかし夜間の場合、特に月の光もない洋上ではまったく見えなくなる。
気象データは、リアルタイムではない場合も多く、刻々と変わる状況は現場でないと分からない難しさがある。
2010年4月14日にはアイスランドで大規模な火山噴火が発生し、ヨーロッパ大陸上空に広く噴煙が滞留した結果、多数の航空便が欠航、「空の交通」