経済キャスター・鈴木ともみが惚れた、”珠玉”の一冊 (26) ”ミスター円”榊原英資氏が語った--『鎖国モード』の日本だから生きのびる!
この90年代の政策対応は最近になって再評価されるようになりましたが、当時は、アメリカのローレンス・サマ―ズ財務副長官ら海外からは辛辣に批判され、国内でも悪い評価をされていました。
その悪評の背景には日米の成長格差があったわけです。
ただ、その成長格差と言うのは、今考えれば、アメリカは金融バブル下にあり、一方の日本は成長国家から成熟国家へと移ったということによるものだったのです。
ですが、当時は「失われた10年」に入った日本、大きく成長し続けるアメリカという対比で、日本が一方的に非難されていました。
鈴木 : 「環境」「安全」「健康」においては、日本は世界のなかでトップランナーと言えるのかもしれませんね。榊原 : そうなのです。
それは成熟国家である証です。
日本が成熟社会のモデルとして先進国の先頭に立つようになったのです。
ですが、日本人の多くが成長を求め、成熟への戸惑いを感じ、それが社会全体の閉塞感につながっています。
確かに企業が海外に進出し成長していくことは必要だと言えます。
しかし、日本の社会全体を成熟から成長路線へと戻す必要はないのです。
無理に成長政策を打ち出せば、バブルを生みかねない。