経済キャスター・鈴木ともみが惚れた、”珠玉”の一冊 (26) ”ミスター円”榊原英資氏が語った--『鎖国モード』の日本だから生きのびる!
は、日本という国が、一度も外国に征服されたことがないという歴史に起因するものだそうですね。
鈴木 : 日本は、鎖国の時代に社会や文化を熟成させるモデルができ上がったわけですね。
榊原 : そうなのです。
「鎖国メンタリティ」は、新たな拡大や成長を求めるというよりは、「内向き」な成熟を求めるものです。
それにより、日本は安定的で幸福な社会を形成することができました。
鈴木 : 一方で、その「鎖国メンタリティ」が及ぼす弊害についてもご指摘されています。
企業ガバナンスと「鎖国メンタリティ」の関連性について、オリンパス事件や大王製紙事件などが起こった原因には、企業の隠蔽体質があると分析されていますね。
鈴木 : 1990年代以降の急速なグローバル化に、日本特有の鎖国メンタリティがそぐわない一面もあるわけですね。
その1990年代に日本は「失われた10年、20年」と呼ばれる時代に入っていきます。
榊原 : 90年代は、バブルの崩壊、金融システムの崩壊と長期的な二つの危機に直面しました。
その状況下で、大型の公共事業対策などで景気を下支えしましたし、私も直接政策対応に関わっていましたが、95年4月には1ドル=80円を切っていた為替レートも日米の協調介入により9月には100円台に戻したのです。