そんな人々が目にすることができる自然現象の多くは、『空』の変化と『生物』の行動でしたから、おのずからそれらが観天望気の要素になってきたのでしょう。
傾向として、漁師の観天望気は『空』や『海』を根拠として直近の空模様を予測するものが多く、農家の観天望気は『空』や『生物』を根拠として長期の雨や気温の傾向を予測するものが多いようです。
このあたりを意識しながら天気のことわざを調べてみると、昔の人たちの生活や気持ちまで伝わってきて面白いかもしれませんよ」お話を通じて、天気予報のことわざの一つ一つには、昔の農家や漁師さんの生活に関わる切実な思いが込められているということが伝わってきました。身近なあらゆるものを観察し、明日の天気を予測していたのでしょうね。
笠原久司
1961年生まれ。
気象予報士。
気象予報士資格を取得後、ウェザーニューズ社勤務。
全国民放各局の天気予報番組の制作を経て、テレビ朝日ウェザーセンターに勤務。
「ニュースステーション」等の天気予報番組の統括デスクを務める。
退職後の2000年、26フィートのヨット「GoldenWistaria号」にて半年をかけて本州周航を達成。