くらし情報『【エンタメCOBS】もしも科学シリーズ(6)もしも可視領域が広がったら』

【エンタメCOBS】もしも科学シリーズ(6)もしも可視領域が広がったら

とも呼ばれ、医療器具に活用されている。データセンターや金庫など高いセキュリティが求められる場所では静脈認証装置が設置されているが、これも近赤外線を利用したもので、静脈中の赤血球(ヘモグロビン)が近赤外線を吸収することから、静脈の位置を特定するのだ。

近赤外線が見えるようになったら、手相ならぬ静脈占いなんて商売ができるかもしれない。

対して遠赤外線は、暖房や調理器具などの熱源に利用されている。生体透過性は低く、皮膚のごく浅い部分で熱に変わってしまうので、「芯までじっくり温まる」的な売り文句はウソである。

熱に変わるのとは逆に、熱を発する物体は遠赤外線を放射する。温度の違いを画像化するサーモグラフィーや、遠赤外線を吸収しやすい冬用の衣類もこれを利用したものだ。

暗い場所でも鮮明な画像が得られる暗視装置にも、遠赤外線を利用したタイプがある。
相手が発する熱を「見る」のだから、こちらから何かを照らす必要はなく、実に便利な装置である。ヘビには、目と鼻の間に熱を感知する器官を備えた種類があり、獲物の発するわずかな体温も識別できるそうだ。そう考えると、武装した宇宙人が体温を手がかりにして人間を攻撃してくるSF映画も、かなり現実味のある話だ。

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