【エンタメCOBS】もしも科学シリーズ(14)もしも反物質を拾ったら
空気が混ざり込んでおだぶつだ。
「混ぜるな危険」は、反物質容器にこそ表示すべきだろう。
つぎは対消滅時に発生するガンマ線対策だ。空中を200mほど飛び人体深くまで透過するガンマ線は、DNAを傷つけ死に至らしめる。厚さ2mのコンクリート壁、10cm厚の鉛板で千分の1程度に抑えられるのでこれを使おう。近隣トラブルはぜひとも避けたいので、2~3重にシールドしておこう。
■反物質エンジンで太陽系脱出
小型・軽量・高出力の三拍子そろった反物質は、大きさ/重さに制約のある宇宙でこそ使うべきだ。反物質エンジンとなると空想の世界に思えるが、NASAの資料にも登場するぐらいだから、さほどデタラメな話ではなさそうだ。
スペースシャトルの打ち上げには、自身よりも大きい外部燃料タンクが必要だったが、反水素ならわずか0.043グラムで済む。火星まで7ヶ月かけて人類を運ぶマーズワン・プロジェクトも、反物質エンジンなら30~45日に短縮可能という。このとき平均速度は秒速20.1km(45日)~30.2km(30日)となり、どちらも第三宇宙速度(16.7km/秒)を上回る。自力で太陽系を脱出することすら可能だから、火星を目指している場合ではないのだが。