【エンタメCOBS】もしも科学シリーズ(15)もしも宇宙が死んだら
ただ伸びきるのみ。
しかしそう悲観する必要はない。伸びきらなくても必ず宇宙はエネルギーを使い果たすのだから。ビッグバンを元年とすると、千兆年後には恒星が燃え尽きる。それから1正(せい)年(=10の40乗年)ぐらいまではブラックホールの天下だ。あらゆる天体を飲み込み、時にはブラックホール同士の共食いも見られるだろう。ただしブラックホールも無限のエネルギーは持ち合わせていないので、1垓(がい)年(=10の20乗年)ほどかけて蒸発する。その後は陽子も崩壊し、10の92乗年ごろには完全な死を迎える。
時間はたっぷりあるから、ゆっくりと対策を考えよう。
■ちぎれる宇宙
まったく違うシナリオで、宇宙がちぎれるという説もある。すでに外周3千億光年にも及ぶ巨大な空間が、正確に、均等に、足並みをそろえて膨張するはずがないという考えだ。例えるなら3千億人3千億1脚で超光速ダッシュを試みるようなものだから、成功するとは思えない。実に人間味のある考えだ。
膨張速度が速い部分はちぎれ、泡立つように分かれていく。ひとつを意味するユニから「マルチ」バースの誕生だ。さらに膨張が続けばあっという間に子宇宙、孫宇宙が生まれ、大宇宙家族が完成する。