【エンタメCOBS】もしも科学シリーズ(33):もしも摩擦がなくなったら
物体を滑らす場合、持ち上げるよりもどれくらい小さい力で済むかは摩擦係数で決まり、材質や表面のデコボコによって異なる。自動車の例では、タイヤと路面の摩擦係数の目安は、
・乾いたアスファルト…0.7
・濡れたアスファルト…0.5
・砂利道…0.55
・固くなった雪…0.15
・氷…0.07
だ。横に動かす場合は垂直に持ち上げる力×摩擦係数となるので、摩擦係数が小さいほど少ない力で動かすことができる。1.5トンの自動車をスリップさせるには、乾いたアスファルト上なら1.05トン扱いだが、雪上では225kg、氷上なら105kgの物体と同じだから、頑張れば1人でも動かせそうだ。
摩擦係数ゼロの世界では、どのような生活になるのか?まずは鉄道や自動車などの乗り物から車輪がなくなる。重さがないのに等しいのだから、地面との接点がどのような形であっても構わない。転がる必要もないし、すり減る心配もないから、タイヤメーカーは商売あがったりだ。
球や円柱状のパーツで軸を受け止め、ころがり抵抗を減らすベアリングも不要だし、潤滑油も必要ない。
動き始めた物体はすべて永久に動き続けるが、カーブは曲がれない。曲がりたい方向にハンドルを切っても、宙に浮いているのと同じだからひたすら直進し続ける。