【エンタメCOBS】不快指数224.8!巨大洞窟(どうくつ)に迷い込んだら - もしも科学シリーズ(40)
高い湿度は汗の蒸発を妨げ、からだに熱をこもらせる。汗をかいても体温は下がらず、脱水症状と暑熱障害の二重奏を見舞うことになる。湿度90%をもとに不快指数を計算すると、12℃は53.8で寒いと感じる範囲だが、70℃なら152.5、112.5℃では224.8となる。55~85が一般的に許容できる数値だから、クルベラ洞窟(どうくつ)もタウトナ鉱山も非常識なほど不快な空間だ。
■危険がいっぱい
有毒ガスも忘れてはいけない。火山性ガスでおなじみの硫化水素が、湧き出る水や石油によって運ばれてくるのだ。硫化水素は空気よりも重く、酸性の気体で強い刺激臭を持つ。たった100万分の0.3 (=0.3ppm)の量で誰もが気づくほどの臭気を放ち、10ppmでは目に刺激を感じ、20~30ppmになると肺が刺激される。
170~300ppmまで上昇すると気道や粘膜にヒリヒリした痛みを感じ、700ppmで呼吸マヒや窒息死に至る。さらに濃度が高まると引火爆発の危険、酸素と結びつけば硫酸に変わり、あらゆる角度から生物を苦しめる。その硫化水素をエサにする極限環境微生物(バクテリア)もいるが、人間にとってはデメリット以外、何もない。