自転車の事故を軽く見てはいけません。相手に与えてしまった損害は、自動車の事故でも自転車の事故でも変わりませんから。被害者の治療費だけではなく、慰謝料や逸失利益など損害賠償責任を負うことになります。
例えば、女子高校生が夜間、携帯電話を操作しながら無灯火で走行し、前方を歩行中の看護師(50代)の女性と衝突し、看護師に重大な障害(歩行困難)が残るという事故があったのですが、その賠償額は5,000万円でした」。
――ご、5,000万円なんて払えません……。
「そのためには、個人賠償責任保険をおすすめします。これは単体の保険ではなく、傷害保険や火災保険、自動車保険の特約として契約することができるものです。自動車事故以外のさまざまな対人事故、物損事故が補償の対象なので、自転車を利用される方は、加入を考えてもいいかとは思います」
――ところでもし、通勤途中に事故を起こした場合は、当然、被害者への損害賠償は会社が負担してくれるんですよね?
「これは難しいところです。
明らかに業務中の事故であれば、会社に責任を問うことも可能ですが、ご自身の意思で自転車通勤するのであれば、自己責任になるものと注意したほうがいいでしょう」