くらし情報『物語の街を辿る、読書旅行【TheBookNook #12】』

物語の街を辿る、読書旅行【TheBookNook #12】

文:八木 奈々
写真:後藤 祐樹

動画やSNSの流行によって本離れが叫ばれている昨今ですが、やはり文字だけで綴られた小説でしか得られない楽しみがあることに、本好きの方なら強く同意してくれると思います。

物語には描かれていない背景、つまりその小説の舞台がわかればより深く本の世界に浸ることができます。ときに、地名がはっきりと描かれてない作品でも“もしかしたらあそこかも……”なんて想像するのも楽しいと思いませんか?

文字の裏側にある景色や音、湿度、その場所に行かずとも感じられるさまざまな描写に自ら触れにいくことで読後の余韻もより深く味わうことができます。

目次

・1.有川浩『阪急電車』
・2.伊坂幸太郎『アヒルと鴨のコインロッカー』
・3.夏目漱石『坊ちゃん』
・物語の世界を旅しない?
・「TheBookNook」について
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写真はイメージです。

今回は、読み終えたらきっとすぐにでも訪れたくなる、実在の街町を舞台にした小説を紹介させていただきます。

1.有川浩『阪急電車』

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タイトルにもある通り、“阪急電車”に乗り合わせた人々が織りなす出会いの物語。テンポのいい会話劇にほっこりしたり、スカッとしたり、胸が締め付けられたり。人との出会いを大切にしたくなるこの作品は、宝塚駅と西宮北口駅をつなぐ約15分間のローカル線“今津線”が舞台となっています。

私も実際に足を運んだことがあるのですが、電車に揺られる人達がみんな物語の主人公のように思えて、今日はこのたった15分の区間でいくつのドラマが繰り広げられたんだろう……と考えながら本を片手に物語の余韻に浸っていました。

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