映画化しても衰えない奇才/鬼才な主人公たち【TheBookNook #29】
20年以上経っても凄まじい臨場感があり、ここまで心を揺さぶる倒叙ミステリーはそうありません。
ただ、決して古臭さを感じるような作品ではないので、原作も映画も、まだ見ていない幅広い世代の方にぜひ触れていただきたいです。青の炎……来年の夏、きっとまた必ず読みます。
3. 首藤瓜於『脳男』
2013 年に映画化された本作品。脳男……このタイトルに魅了されてあっという間に読了したのが映画化される約2年前。“驚異的な知能と肉体を持ちながらも感情だけが欠如された男と連続爆弾犯”……これだけで当時の私には十分すぎるほど魅力がありました。物語序盤の“まだ分からない”状態はとてもギクシャクした感触で、脳男が誰なのか、あるいは何なのか、何者でもないのか、ほとんど何も見えないまま物語は進んでいきます。その後に明かされる真相を知ってもなお残る違和感に何度、苛立ち、震え、ワクワクさせられたか。
映画では、大筋は原作に添いながらも人物設定や途中の展開、そして結末には大きな改変も見られます。ただ……その全てが悔しいほどに面白い。
物語の重要人物でもある爆破犯が原作では男性の単独犯だったのに対し、映画では若い女性に変わっていたり。