本棚に置いておくのも忌まわしい物語を想う……【TheBookNook #32】
さまざまな妊婦の視点で物語が描かれているためか、男性嫌悪の傾向が少し強すぎるようにも感じましたが、読みやすいボリュームながら世界観の精度が高く、苦しいのに一気読みしてしまえます。
もし、こんな世界が現実になったらどんなことが待っていると思いますか……? 自分の意思として生まれた世界のほうがよっぽど怖いように思えるのはに私だけなのでしょうか……。
2. ジャック・ケッチャム『隣の家の少女』
なぜ読了できてしまったのだろう……。これほどこの感情を強く抱いた物語は、他にありません。
ここでおすすめしておいてこんなことを言うのもなんですが、私は、もう二度と読みません。
苦痛と共に生き、“本当の苦痛”を知っていると語る主人公。青春小説のような回想シーンから始まるものの中盤から非情な虐待と暴力に心が削られていきます。狂気に沈んでいく心情、複雑な感情の移り変わりの描き方があまりにも巧みで、本を持つ手の震えが止まりませんでした。
トラウマ、監禁、暴行、洗脳、拷問……冒頭から終盤まで一度も光なんて見えません。それどころか、黒く、暗く、もう戻れないところまで染まっていき……。正直、こうして今、思い返して文字に起こすのも戸惑うくらいには後悔しています。