本棚に置いておくのも忌まわしい物語を想う……【TheBookNook #32】
でも、もし私が同じ空間に生きる子供だったら、同じことをしてしまっていたのかもしれないと思うと心の底にすらなかった何かがえぐり出されたような気持ちになりました。
何より恐ろしいのは、この作品が“実話”を元にして描かれた物語だということ。読む際は自己責任でお願いします。
3. 我孫子武丸『殺戮にいたる病』
たった一言で全てがひっくり返る大どんでん返しミステリー……と各所で謳われている本作品。
物語は次々と猟奇的殺人を重ねるシリアルキラーを追う形で進み、冒頭犯人が警察に捕まるところから始まります。犯行を重ねる少年、息子がシリアルキラーだと疑い始める母、定年退職をした元刑事の三人の視点で描かれていくのですが……。
真の犯人が冒頭で明かされているのに、どのようにして“どんでん返し”に繋がるのか。そんな疑問を抱きながら読み進め、時系列のピースがはまった瞬間……体中に電流が走るような強い衝撃に襲われました。
凄まじい人物トリックとトラウマになるほどグロテスクな描写。理解し難い欲求をもつシリアルキラーも、息子を過保護に心配する母親も、かなり常軌を逸しており翻弄されつつ読み進めました。
そして最後の最後で明かされる事実。