物語ってあたたかい…肌寒い季節に読みたいほっこり作品【TheBookNook #34】
いつしか主人公と“自分”をひどく重ねて恥ずかしくなっていました。
太宰治の「人間失格」をオマージュして描かれたという本作は、主人公の自己防衛からなる言動の数々が魅力のひとつ。
中にはこの思想に共感しすぎて首が取れるほど頷いてしまう人もいるかもしれません。
だからこそ、ラストの展開には大きなため息がでますし、物語を読み進めながら自分自身と対峙し、自分の、いや誰かの心にまで寄り添いたくなるのです。
巻末にある、早川真理恵さんと西加奈子さんの特別対談も必読です。
2. アレックス・シアラー『チョコレート・アンダーグラウンド』
選挙で政権を勝ち取った“健全健康党”によって突然チョコレートを禁止された国民。誰がこんな世界を想像できるでしょうか……。
ありそうでなかったその法律。
大人の無関心によって生まれた暴走する権力者に、子供たちとそれに影響された大人たちが自由を求め、抵抗し、勇気を出して立ち向かう物語です。一度読み進めたら止まらず、500ページを超える大作ではありますが、時間を忘れて物語に没頭できること間違いなしの痛快ストーリー。
ただ、本作にあるチョコレートがもし別のものだったら……なかなか笑えませんよね。