この春は「ふらっと能楽体験」で日本の伝統芸能の奥深さに触れてみよう
や「すり足」など、知られざる身体性によって支えられていたのですね。
■能面を着けての記念撮影も
イベントでは紹介する曲に合わせて、実際に舞台で使われる小道具や能面に触れることができます。今回は『高砂』という大変おめでたい演目で使われる道具を紹介してもらいました。
『高砂』という曲で使われる2種の能面。
能『高砂』曲紹介
兵庫県の高砂神社にある「相生の松(あいおいのまつ)」に由来する、大変格式の高いおめでたい曲。松は古来、神が宿る木とされ、常緑樹である「松」に「長い繁栄」を、「相生(あいおい)」という言葉に「ともに老いる」という意味がかけられています。
能『高砂』は、夫婦和合の象徴として、その一節が結婚式等で謡われることもあるのだとか。
『高砂』に登場するお爺さんが着用する「小牛尉」という面を着けて撮影タイム。能面と一緒に着けている鬘は1回1回結うのだそう。
「能面のような表情」という表現は、表情があまりないという意味で使われますが、実際の能面をよく見ると、ちょっとした角度で見え方が変わるほど、豊かな顔つきであることに気づきます。
能楽師はその微妙な角度を工夫しているため、時に自分の視界より面の角度を優先することもあるという、普通だったら考えられないようなお話まで聞くことができました。