くらし情報『「私がおしっこする瞬間を見てほしい」 映画『娼年』が描く性的嗜好の多様性』

2018年11月24日 17:00

「私がおしっこする瞬間を見てほしい」 映画『娼年』が描く性的嗜好の多様性

昔、男に「手首を柔らかく縛ってほしい」と伝えたら、「えー、SM好きなの!?」と笑われた挙げ句、スルーされたことがある。バカにされているようで、すごく虚しい気持ちになった。純粋に楽しみたかっただけなのに。

性的嗜好を開示しても、取り合ってもらえず、ただ冷笑されて、変態扱いされる。私の経験はささやかで、たいして傷つかなかったけれど、もっとひどいこと、攻撃的なことを言われたことがある人だっているだろう。

一度でもそんな経験をすると、次にセックスする相手に対して、自分の性的嗜好を明らかにしづらくなる。本当はこうしたいのに、言うと変な空気になるんじゃないかと思うあまり、言い出せないために、心から満足するセックスができない。そんな弊害があると思う。


■女性が風俗店を利用するのは変ですか

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私は心から満たされるセックスをした経験が数少ない。原因は、自分の性的嗜好を明示できていないことにある、と考えている。そんなとき出会ったのが映画『娼年』だった。原作の小説『娼年』(石田衣良,集英社,2001年)は20代半ばで読んでいた。男性に体を売る女性が「娼婦」だから、女性に体を売る若い男性は「娼年」。文字通り、女性に対してサービスをする男性が主人公の作品だ。

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