「私がおしっこする瞬間を見てほしい」 映画『娼年』が描く性的嗜好の多様性
「女なんてつまんないよ」「セックスなんて、手順が決まった面倒な運動」と、淡々と口にする。
一夜を共にしても、相手の名前すら覚えていない。まるでオナニーのようなセックス。女性を性欲を発散する「道具」として使っているように見える。どこか寂しく、傷ついているかのようで、光が見えない、空洞のような瞳をした若い男――それが私が抱いたリョウの第一印象だ。
しかし、転機は思いがけないときにやってくる。リョウの幼なじみでホストをしている田島進也(小柳友)が、売上に貢献してくれる「太客」になりそうなお金持ちの女性を、リョウが働くバーに連れてきたのだ。
リョウの運命を変える御堂静香(真飛聖)との出会い。
静香は会員制ボーイズクラブ、言い換えると出張ホストクラブのオーナーで、リョウがお酒を作るのを見て、スカウトしようと決意する。バーの閉店時間、外で待っていた静香は、リョウをクルマに乗せる。
■女はつまらなくなんてないし、セックスは面倒な運動なんかじゃない
行き先は静香が経営するLe Club Passion。静香はリョウにこんなミッションを課す。彼女の娘・咲良(冨手麻妙)とセックスしなさい、と。これはテスト。