連載記事:法律で切るママトラブル
夫のLINEを勝手に見たら違法なの?(後編)(法律で切るママトラブル Vol.13)
前編では、他人のスマホを勝手にいじってメールやSNSを盗み見することの違法性について解説しました。後編では、ゲス騒動のLINE流出の原因と言われる「クローンiPhone」を作ったら違法なのか? そして、「スマホを盗み見たことを理由に離婚ができるのか?」について、引き続き、アディーレ法律事務所の島田さくら先生に解説してもらいます。
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ゲス騒動のLINE流出の原因と言われるクローンiPhoneを作ると罪になるのか
今回の不倫騒動では、「一体誰がどうやって、他人のLINEを流出させたの?」という点が注目を浴びました。何者かがiPhoneの情報をコピーし、ほかのiPhoneに復元してクローンを作り、LINEの情報を得ていたのではないかと言われています。では、クローンiPhoneを作ると罪になるのでしょうか。
まず、「情報をコピーするためにiPhoneを持ち出すと、iPhoneの窃盗になるのでは?」という点が気になりますが、実は他人が勝手に物を持ち出したとしても、ちょっとの時間借りるつもりで持ち出しただけという場合、窃盗罪は成立しないと考えられています。そのため、仮にiPhoneを持ち出しても、すぐに返せば窃盗罪にはあたりません。
では、iPhoneから情報をコピーしたら、情報の窃盗にならないのでしょうか? この場合、窃盗は形ある物と電気を盗んだ場合にのみ成立すると考えられているので、情報を盗んでも窃盗罪にはあたりません。
しかし、情報をコピーしてバックアップをとったり、別のiPhoneに情報を復元したりする際、アプリ等のプログラムを作った著作者の複製権(著作権のひとつで著作物をコピーする権利)を侵害し、違法となる可能性が出てきます。所有者が必要な範囲でプログラムのバックアップをとることは許されますが、iPhoneやアプリ等の所有者でもなんでもない他人がコピーを取ることは、許された範囲を超えると考えられます。
クローンiPhoneを作っただけ、クローンiPhoneに保存された情報を見ただけというのであれば、罪にはならないでしょう。しかし、クローンiPhoneからネットワークに接続してアプリ等を利用すると、不正アクセス行為にあたる可能性があります。
なお、現在LINEはクローンiPhoneなどによる盗み見対策のため、複数の端末からアクセスできない仕様にしたそうです。