■「医療費控除」の新しい制度がスタート!
© Basico - Fotolia.com
さて。本連載も、いよいよ最後の項目。今回は、税金のおトクとしてもっとも有名な医療費控除の
新ニュースをお伝えしよう。2017年1月1日から、市販薬の購入についての
新しい制度がスタートした。その名は、
「セルフメディケーション税制」。
セルフメディケーション税制とは、適切な健康への取り組みをしている人が、「対象の市販薬」を
年間1万2000円以上購入した場合に、税金が安くなる制度だ。この制度を利用するには、
定期健康診断を受けるなど、適切な自分管理が必要となる。また、対象とされる薬は、「バファリン®」など、誰もが購入する機会があるごく一般的な市販薬だ。
© Monet - Fotolia.com
「セルフメディケーション税制は、『
自分の健康は、自分で守るという意識』の起爆剤になるかもしれませんよね」(湊さん)
いままでは、医療費控除は、「最低額は10万円もしくは所得の5%を超えた場合」が対象。それが、たとえば、年間の医療費が10万円未満で医療費控除がダメでも、「対象の市販薬を年間1万2000円超で買った場合」には、セルフメディケーション税制が使える。
この制度は、従来の医療費控除と
選択制で、次の
2つを満たしている時に利用できる。
■税金優遇の「要件」は、主婦が知っておくべき必須情報
全6本に渡りお送りした「知っている人だけトクする税金術 2017」もこれで終わりだ。この連載を書きながら、「
法律は、生き物のようだなぁ」と思った。たとえば、植物が自然と光の方向を向くように、法律も、日本が行くべき方向に向かって、どんどん変化していく。
文中に何度も書いたけれども、税金の優遇を受けるためには、国が示す
「要件」を満たしていないとならない。つまり、税金で家計を元気にするためには、主婦が、この「要件」を
知っておく必要があるということだ。
税金の知識は、家計を元気にするのに、「一発でガツンと効く」のだから、難しいと敬遠して知らないのはもったいない!
「税法を毎年チェックしていくことで、私たち達が歩む道が見えてくるのではないか?」 そんな気持ちから本連載には、「2017」と付け加えることにした。今後も、定期的に「家計を元気にする」税法をチェックしていきたい。
この記事は2017年1月の取材に基づいて書いています。
■今回取材にご協力いただいた湊 義和さんの著書
『
家計を元気にする 税金活用術 「節税」から「活用」へ』
湊 義和 / 中央経済社 ¥1,600(税別)
湊 義和さんプロフィール
中小企業を応援する政府系金融機関のサラリーマンから一念発起して税理士になった経歴の持主。とかく難解な税金の世界の水先案内人として、一般の方の税金相談から独立開業、二代目の事業承継などさまざまな相談に乗るのが生きがい。趣味は最近少し人気が回復してきたスキー。
【プチ知識】ふるさと納税で税金が安くなるメカニズム
年収500万円(※)の人が、30,000円のふるさと納税をした場合、28,000円の税金が安くなる。(※所得税率は20.42%、住民税は10%で試算)
税金が安くなるメカニズムは、図にすると下記の如くになる。
それぞれをみていこう。
Woman excite編集部作成
1)所得税
所得税では、K市へのふるさと納税は、K市への寄付金として取り扱う。この場合、K市へ寄付した金額のうち2000円(A)を超える金額が所得から控除されるため、所得税としては、次の金額が軽減される。
(30,000円 − 2,000円) × 20.42% = 5,718円(B)
2)住民税
住民税では、以下の2段階で、税金が軽減される。
▼第1段階
K市への寄付金のうち2,000円を超えた金額の10%が控除される。
(30,000円 − 2,000円) × 10% = 2,800円(C)
▼第2段階
K市への寄付金のうち2,000円を超えた金額に以下の割合を掛けた金額が控除される。
(30,000円 − 2,000円) × (1 − 所得税率 − 住民税率)
ただし、夫の住民税所得割額の2割が上限だ。
(30,000円 − 2,000円) × (1 − 20,42% − 10%) = 19,482円(D)
夫「その働きはいくら分?」育児をお金で“換算”する夫!?さらに【衝撃の言い分】が…⇒夫との誤解を解決する対話